Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2018年03月20日

民泊「清水さんの家」

長野県の小布施町は、年間100万人以上の観光客が訪れる人気の土地ですが、そもそもこの町の町づくりを仕掛けた小布施堂の市村社長は、長いこと、町に宿泊施設が少ないことを嘆いていました。

小布施に来た観光客は、近隣にある温泉地に泊まることが多かった。町がつくった「ア・ラ・小布施」というゲストハウスは、わずか4室だけ。そこで市村社長は、みずから「舛一賓館」というホテルを建て、経営をはじめたのです。それでも訪れる人の数に対して宿泊できる人の数は圧倒的に少ないので、いまでも、溢れんばかりの観光客で賑わっていた町の中心が、午後5時を過ぎるとほとんど人通りがなくなります。

外からたくさんの人たちに来てもらっているのに、宿泊施設がないと、せっかくの触れ合いが積み重ねられない。外からの文化が、町の人に影響を残さない。泊まることによって初めて、より深い人との繋がりが生まれ、異なる文化との接触が、町に住む人たちに財産を残すのだ、と。言葉は正確ではありませんが、そんなふうなことを、私は市村社長から聞いた記憶があります。

こんど、関酒店の復活に続いて、ぜひ民泊をやりたいと思ったのは、この話がずっと心の中に沈殿していたからです。せっかくワインを売る店ができ、飲む場所もできるのなら、やっぱり泊まるところがほしい……。

その意味で、民泊「清水さんの家」は、長いあいだ、どうしても欲しいと私が思っていた施設なのです。