Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年04月09日

ジェームズ・ボンド

日本では明治時代からワインづくりが行われてきましたが、本格ワイン(いま私たちがふつうに「ワイン」と呼んでいるもの)は、日本でつくっても外国から輸入してもまったく売れなかったので、輸入ワインに香料や甘味料、着色料などを加えて調整した「甘味ブドウ酒」がつくられました。

日本の甘味ブドウ酒の先駆けは1881(明治14)年に発売された「蜂印香竄葡萄酒」で、蜂蜜を加えて酸味を抑えた「飲みやすい」味がしだいに人気を博すようになりますが、これを後追いするように1907(明治40)年に発売された「赤玉ポートワイン」が、広告宣伝の妙もあって、爆発的に売れたのです。明治から昭和の戦後に至るまで、多くの日本人がワインと聞いてイメージするお酒は「赤玉ポートワイン」でした。

ウィキペディアで「赤玉ポートワイン」の項目を見たら、「1966年公開の『007は二度死ぬ』では、ジェームス・ボンドが飲用している」という記述がありました。えーッ、本当かなぁ。私は(とくにショーン・コネリーの)ジェームズ・ボンドが大好きなので、『007は二度死ぬ』もテレビの再放送で何度も見ているはずなのに……気がつきませんでした。