武藤 千春

年齢29歳
現住所長野県小諸市
ワインとの出会いと
現在の状態
私は2019年に小諸市に移住しました。当初は二拠点生活というスタンスで、週半分ほどを小諸で過ごし、東京と行ったり来たりを繰り返していましたが、移住して2〜3ヶ月後にコロナ禍になり、都内との往来を控えるようになりました。世界中の多くの方がステイホームな毎日を過ごしている中で、私にも同じようにたくさんの時間ができ、2021年から佐久市にあった20坪の耕作放棄地を耕し野菜を育ててみると、思いのほかどハマり。土と触れ合うこととは無縁だった私にとって、畑での発見や気付き、様々な出会いはとにかく新鮮で刺激的でした。こからあれやこれやと、興味を持ったことには飛び込んでみて、今では住まいを構える小諸に畑を移したり、増やしたり、計4ヶ所・約2,000坪の田畑で野菜やお米、南高梅、ワイン用ブドウを栽培しています。ワイン用ぶどうを育てるようになったきっかけは、現在小諸市の飯綱山公園にワイナリーなどを含む複合施設を運営し、アカデミー卒業生でもある「Komorokko Farm & Winery」の皆さまとの出会いです。小諸市役所の方から「農で街を盛り上げたいと頑張っている、武藤さんと気が合いそうな農業法人がある」と教えていただき、Komorokko Farm & Wineryの吉岡社長をご紹介いただきました。案の定、すぐに意気投合。 そこから「武藤さんもぶどう作ってみたらどうですか?僕たちサポートしますよ!」とお声がけいただき、その場で「やります!」と答えました。実はそれまでワインをほとんど飲んだことがなく、赤と白の見分けがつく程度の知識しかなかった私ですが、やりますと伝えたその日から毎日様々なワインを飲むようになりました。圃場は小諸と東御のちょうど境目くらいの場所、山の神という場所にもともと耕作放棄地だった700坪の畑をお借りし、ピノノワール、シラー、バルベーラ、バッカス、リースリングの6種500本の苗木を2022年4月に定植。その後、Komorokko Farm & Wineryの栽培醸造責任者の小船睦さんを中心に、圃場で必要な作業を教えていただきながら、少しずつぶどうの木たちを育てています。いよいよ今年2024年に初収穫を迎えます。
将来の計画今のところ自社ワイナリーを建てる予定はなく、今育てているぶどうはサポートしていただいているKomorokko Farm & WIneryに委託で醸造をしていただく予定で、畑の面積は今のところ広げる予定はありません。
私は今4つの圃場で農産物を育てていますが、農業をしているという感覚はありません。「畑で稼ごう!」という気持ちも強くは持っておらず、あくまでも暮らしや遊びの延長線上に農があります。なので、私はいつも農業ではなく「農ライフ」というキーワードを使って自分のライフスタイルや想いをSNSやメディアを通じて発信しています。ワイン用ぶどうの栽培も同じように捉えており、「自分だけのワインを作りたい!」というよりは「この圃場を通じてたくさんの方と農を楽しめる場づくりがしたい!」と考えています。畑で土と触れ合い、みんなで手をかけたぶどうたちが実り、ワインになる。そしてそのワインを畑でみんなといただく。そんな景色を思い描きながら、ワイン用ぶどうを作るプロジェクトとして「KOMORO dé WINE PROJECT(コモロデワインプロジェクト)」という名前をつけました。想いに共感し、一緒に農を面白がり、集ってくれている仲間たちと今ある場所を最大限に活かしてどれだけ面白い場づくり、ものづくりができるかというところをアップデートしていきたいと考えております。完成品を美味しくすることはもちろんですが、1本のワインが出来上がるまでにどれだけの繊細な作業や自然とのコミュニケーションが積み重なっているかということを私自身もより深く理解していきながら、それを体感していただける環境づくりに努めたいと思います。