Column[ 読みもの ]
日本のワインのこれからを考える 2019
2018年01月12日
ワインバレーの未来を考える2018
新哲学対話
今年の正月の読書は、『新哲学対話――ソクラテスならどう考える?』(飯田隆著/筑摩書房刊2017年11月)でした。
プラトンの対話篇に倣って、ソクラテスをはじめとする哲人たちが縦横無尽に議論をするようすを「台所の言葉」(平易な日常の言葉)で書き連ねながら、ものを考えるというのはどういうことなのか、その行為の意味と方法と面白さを教えてくれる、いわば初心者用の哲学教本ですが、私がこの本を買ったのは、「いいワインとは何か」という問いがテーマのひとつになっているからです。
ひとのワインの好みは、あれこれ議論できるものではないのか、もしくは、ワインの良し悪しは、主観的にしか判断できないものなのか、それとも、何か客観的な基準があるのか、あるいはさらに、それは、時代や社会に相対的なものなのか。
「アガトン――あるいは嗜好と価値について」という章では、そんな問いから発した相対性についての議論が展開されます。議論はいちいち元に戻り、たえず遺漏がないかを検証しながら、行きつ戻りつしながらじわじわと進むので、100ページを優に超えるこの章を読み終えるには忍耐力が必要ですが、私は正月休みに、ワイングラスを片手にゆっくりと読んで、考えました。
次回以降、本の中身をもう少し紹介しようと思いますが、うまく要約できるかどうかわからないので、興味のある方は自分で買って読んでみてください。