Column[ 読みもの ]
日本のワインのこれからを考える 2019
2018年01月26日
安いワインから飲みはじめる
日本人が年間に飲むワインの量は、一人当たりボトル4本(3リットル)といわれています。正確な統計はありませんが、長いあいだ3本から3本半といわれてきたのが、最近は4本に達したのではないか、という推測です。私は週に4本は飲んでいますが……。
このうちの約3分の2が外国からの輸入ワインで、3割くらいが外国の原料を使って国内で製造される、これまで「国産ワイン」と呼ばれてきたもの。その両方を引いた残りが、日本国内で栽培・収穫したブドウを100パーセント使って日本国内で醸造・瓶詰めする「日本ワイン」ということになりますが、「約3分の2」と「3割くらい」を全体から引くと、残りは3~5パーセント。これも、長いあいだ3パーセントといわれてきたのが、最近は5パーセントくらい行っているのではないか、という希望的観測です。
今年の10月から発効する表示ルールの改正により、海外原料を使っているワインは「国産」を名乗ることができなくなり、表ラベルに「海外原料使用」とか「濃縮果汁使用」とか表示することが義務づけられます。このことはまだ関係者以外にはあまり知られていないのではないかと思いますが、秋になれば大々的に報道されるでしょうし、日本のメーカーが1000円以下で売っているワインはほぼすべてがこのジャンルに属するので、店頭で手に取った消費者の反応もこれまでと違ったものになるでしょう。
その結果、日本ワインの消費量は、どのくらい伸びるでしょうか。1000円以下のワインを求める人たちは、従来の「国産」から、関税が安くなる輸入ワインへと移ることが考えられますが、日本ワインの価格帯は最低でも1500~2000円、千曲川ワインバレーの「NAGANO WINE」の場合は2500~4000円またはそれ以上ですから、そのレベルとの競争にはなりません。
私は、1000円前後の価格の、良質な外国ワインがたくさん売れるようになることが、日本ワインの消費を伸ばすための近道だと思っています。これまでまったくワインを飲まなかった人たちが、安くておいしい外国産のワインを飲む機会に接し、「生まれて初めて」ワインを飲むという体験をすることが、なによりも大事だと思うからです。