Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2017年01月24日

WINE UBER

前回のブログを補足します。

完全自動運転時代の到来は、想像するよりずっと早いといっても、10年近くはかかるでしょう。過疎地対策としての「ライドシェア」も、実現するまでは相当の手間と手続きが必要になりそうです。そう考えるといちばん早いのは、そしてワイナリー観光の二次交通としてもっとも有効なのは、ワイナリー観光専用の「ワインウーバーWINE UBER」だと思います。

2015年のブログをまとめた『ワインバレーを見渡して』(虹有社2016年5月刊)でも書きました(90~92ページ)が、地元の有志(ワインとワイナリーに詳しい人たち、あるいは勉強してワイナリーガイドができるようになった人たち)がグループをつくってウーバー運転者として登録し、呼び出しに応じて出かけていくのです。特定のエリア内で特定の登録ドライバーを対象とする「ライドシェア」なら、既存のタクシー会社との軋轢も少なく、一般的なウーバーシステムの導入に先立って「地方創生特区」とか「国家戦略特区」とかで実行することも難しくないのではないでしょうか。規制が緩和されれば、新しいグループだけでなく既存の代行業者やタクシー会社もすぐに参入を検討すると思いますが、サービスの品質と安全を担保する仕組みをうまくつくることができれば、将来の本格的な過疎地対策としての運用につながるものとなるでしょう。

将来かならず必要になるであろうウーバーなり完全自動運転なりの二次交通システムを、まずワイナリー観光のツールとして(とりあえず「特区」でもよいので)実験的に採用する。そして、その「実証実験」の結果を、一般的な過疎地対策としてフィードバックする……全国の辺鄙な場所にある観光地では、同じような試みが可能だと思います。

ヴィラデストにやって来るお客さんの中にも「どうしてワイナリーはみんな遠く離れた不便な場所にあるのだろう、もっと町の近くにあればいいのに……」と嘆く人がいます。が、そう言われても、ブドウ畑の傍らにワイナリーを建てようとすれば、どうしたって都市部から離れた辺鄙な場所になってしまいます。実際、そういう田舎に小規模ワイナリーを集積させようという私たちの構想は、人口減少時代の過疎地対策と、ほぼ同じ意味をもつことになるのです。