Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年03月29日

ワインに親しむ入口

FTAやEPA、TPPなどで輸入ワインの関税が安くなると、日本のワインメーカーにはどんな影響があるか、という質問を、去年から今年にかけて、多くの新聞記者から受けました。

この質問に対する私の答は決まっていて、数百円の価格帯で輸入ワインと競合する大手の「国産ワイン」メーカーには影響があるだろうが、私たちのような小規模ワイナリーには関係がありません。とくに長野県の「日本ワイン」は安くても2000円以上なので、買い手は造り手や品種などでワインを選ぶ。価格が100円安いから買うとか買わないとかいうレベルではないので、海外から安いワインが入ってきても影響はない。むしろ、安いワインが気軽に手に入って、日本人にワインを飲む習慣がいまよりも広がればありがたい。ワインを飲む人口が多くなれば、そのうち日本ワインに興味を持つ人がかならずあらわれるので……と答えます。

1000円台で買える外国のワインにも、おいしいものがたくさんあります。それがワインに親しむ入口になるなら大歓迎です。が、それなら輸入した濃縮果汁から造る「日本のワイン」はどうか、もっとみんなが「海外原料使用ワイン」を飲むようになれば、それも「ワインに親しむ入口」として歓迎するか……と聞かれると、私はまだうまく返事ができません。