Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年05月07日

ブドウの品種

日本では、数多くのブドウ品種からワインがつくられています。日本も「ワイン生産国」のひとつと考えれば、これほど多様な品種からワインをつくっている「ワイン生産国」は世界でも日本だけだと思います。

ブドウの「品種」という場合、気をつけなければならないことがあります。たとえばポ
ルトガル人は、「わが国では100種類以上の品種からワインがつくられている」と自慢し
ます。メルローやシャルドネなどの国際品種(世界の「ワイン生産国」の多くで栽培して
いる品種)ではない、地元固有のブドウ品種が100以上もあって、多様性に富んでいる、
というのです。

が、これらの100種類以上の「品種」は、実は「ヴィニフェラ種」VITIS VINIFERA とい
う一つの「品種」に含まれます。というか、本当は後者を「品種」と言ってしまうのが間
違いで、VITIS は「ブドウ属」という「属名」をあらわす語ですから、正しくは「日本で
は数多くのブドウ品種からワインがつくられている」ではなく、「日本では数多くのブドウ
属からワインがつくられている」というべきでした。

ヨーロッパには、ポルトガルにもスペインにもクロアチアにもジョージアにも、それこそ
数限りないローカルなブドウ品種がありますが、それらはすべて「ヴィニフェラ属」に属
しています。そして世界では、日本のように「ヴィニフェラ属以外のブドウ品種からワイ
ンをつくっている国」は、ほとんどないといってよいでしょう。