Column[ 読みもの ]
日本のワインのこれからを考える 2019
2019年05月17日
氷河期の生き残り
今日、私たちが知っているブドウという植物は、何千万年も前から地球上に存在していたブドウ属のうち、約1万年前の氷河期を生き延びたもの、ということになるわけですが、衝撃的なのは、それぞれの種群に属する「品種(属名)」の数です。
『日本ブドウ学』では、「ブドウ属の分類には過去多数の意見や報告があるが(中略)これらをとりまとめると、次のとおりである。」といって、こう書いています。
① ヨーロッパブドウ(欧州ブドウ)VITIS VINIFERA 1種
② アメリカブドウ(米国ブドウ)VITIS LABRUSCAのほか約30種
③ アジア野生ブドウVITIS AMURENSISのほか約40種
つまり、北アメリカや東アジアでは何十種類ものブドウが氷河期を生き延びたのに、ヨーロッパではたった1種類、ヴィティス・ヴィニフェラ種しか生き延びることができなかった、というのです。