Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年05月22日

世界最古のワイン生産国

ヨーロッパブドウが、たった1種類の「ブドウ属」から生まれた経緯は、これで分かりました。氷河期が終わって、温暖な気候が戻ってきたとき、他の多くの仲間たちは寒さで死に絶えたにもかかわらず、1種類の野生ブドウだけが休眠から覚めて復活し、それが繁茂するにしたがって各地に運ばれていき、西アジアからヨーロッパにかけての広大な地域に土着した。そして長い時間をかけて、それぞれの土地の気候条件に応じてその性質を変化させていった……。

1万年前の氷河期を生き延びたヨーロッパの野生ブドウは、カスピ海沿岸が原生地ではないかといわれており、7000年前くらいになると、カスピ海と黒海にはさまれたコーカサス地方、アララット山の山麓あたりで栽培されるようになりました。最近、昔ながらのワインづくりで脚光を浴びているジョージア(グルジア)が「7000年前からワインをつくっている世界最古のワイン生産国」といって自慢しているのは、そんな歴史があるからです。