Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年05月28日

ノアの方舟

ヨーロッパブドウの原産地とされる、カスピ海と黒海にはさまれた、アララット山の麓……といえば、旧約聖書(創世記)に出てくる「ノアの方舟」が漂着した場所と同じです。地球のすべてを覆い尽くす大洪水の中、ノアが方舟に積み込んだ生き物だけが、難を逃れて生き延びた……ブドウの苗も、その中に含まれていました。

洪水が終わって、土が乾くと、方舟に乗っていた生物は地上に放たれます。創世記第9章には、こうあります。「さてノアは農夫として初めてブドウを植えた。彼はブドウ酒を飲んで酔っ払い、天幕の中で裸を出していた……」

私は、よく「ワインは酔っ払うためのお酒ではありません。ワインは食事の一部なので、飲んで酔っ払ってはいけないのです」と言うのですが、聖書のワインに関する最初の記述がこれでは、説得力がありませんね。