Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年07月06日

キツネの匂い

それでは、なぜ、「ラブルスカ種ではおいしいワインができない」という暗黙の了解があり、なぜ、「ワインはヴィニフェラ種からつくる」ことが世界の常識になっているのでしょうか。

北アメリカに上陸したフランス人やスペイン人は、最初はアメリカのブドウでワインをつくることを試みたに違いありません。が、そうしてできたワインは、ヨーロッパのワインにはない、ある特殊な匂いがして、彼らの味覚からすると、とても飲めたものではありませんでした。

その特殊な匂いのことを、彼らは「キツネの匂い」と表現しました。キツネの匂い? ……って、どんな匂いでしょうか。私が住んでいる信州の里山にもたくさんキツネが棲んでいますが、いつも素早く走り回っているので接近するチャンスがなく、まだ嗅いだことがありません。