Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年07月14日

ウェルチ博士

ニュージャージー州の医師ウェルチ博士は、教会の聖餐式に「発酵していないワイン」を使いたいと思い、自宅のブドウ園で栽培しているブドウの果汁を瓶に詰め、瓶ごと熱湯に浸けて発酵を防ぎました。これが今日まで150年間も飲み継がれている、アメリカの国民的飲料のひとつともいわれるグレープジュースの誕生でした。

ブドウ果汁は放置するとワインになってしまうので、ジュースのまま維持するには加熱殺菌する(酵母を殺す)必要があったのです。だからワインが先にあり、後からジュースができたわけですが、このときウェルチ博士が使ったのが、純系のラブルスカ種とされるコンコードだったのです。

この強い香り(フォクシー・フレイバー)は果実に由来するので、ラブルスカ種の果実は、そのまま食べても、ジュースにしても、ワインにしても、同じ香りがします。コンコードの香りこそ、もっとも分かりやすい「キツネ臭」なのです。