Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年07月17日

コンコード・ナイアガラ・デラウェア

コンコード、ナイアガラ、デラウェア……日本人には馴染のあるブドウの名前です。明治初年、フランスからヴィニフェラ種を輸入して根づかせるという政府が当初目論んでいた計画は、フィロキセラの流行だけでなく気候的な適応も難しかったため頓挫し、結局、雨や湿気に耐えて病気に強い、アメリカ東海岸で栽培されていたラブルスカ系のブドウを導入することになりました。

コンコードはマサチューセッツ州コンコードで1849年にラブルスカ種の栽培種として選抜され、デラウェアは野生ブドウの自然交雑種で1855年にオハイオ州デラウェアで命名され、ナイアガラはニューヨーク州ナイアガラで誕生したコンコードの交雑種です。いずれの州もカナダ国境から遠くない北部にあることを考えると、これらの品種は寒さに強いこともわかるでしょう。

日本では、これらの品種は生食用としてだけでなく、ワイン用の原料ブドウとしても利用されてきました。生食用のブドウがもっと新しい品種にシフトしてきた現在では、コンコードやナイアガラやデラウェアは、むしろ日本ワイン用の原料品種としての存在感のほうが大きいかもしれません。