Column[ 読みもの ]
日本のワインのこれからを考える 2019
2019年07月23日
ヴィニフェラ信仰
アメリカ系ブドウの「キツネ臭」が嫌いなのは、フランス人だけではありません。
西アジア・コーカサス地方から地中海沿岸地域に伝わり、キリスト教とローマ帝国を介してユーラシア大陸の西半分を覆ったワイン文化では、その中心を担ったフランス人の嗜好を受け継いだからでしょうか、「キツネ臭」はつねに忌むべきものとされてきました。
だからカリフォルニアをはじめとするアメリカ合衆国の各州でも、チリを筆頭とする南アメリカ大陸でも、オーストラリアでもニュージーランドでも南アフリカでもタイでもインドでも中国でも、すべてのワイン生産国ではヴィニフェラ種からワインをつくるのです。
ワインはヴィニフェラに限る……はたしてこの「決めつけ」は、客観的な根拠に基づく人類共通の感覚なのでしょうか。それとも、フランス人の「嗜好」からはじまった「信仰」なのでしょうか。