Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年07月26日

初心者用ワイン

ラブルスカ系のブドウは病気に強く、収量も多いので、それまでワイン文化がなかった国や地域では、まずラブルスカ系のブドウを使ってワインをつくりはじめます。カリフォルニアでも、ニュージーランドでも、日本でもそうでした。

ワインに馴染みのない消費者を相手にするとき、甘みのある軽いワインなら、「キツネ臭」はそれを認知しない人には華やかな香りと受け止められ、むしろ有利に働いたかもしれません。日本人に爆発的な人気を得た「赤玉ポートワイン」も、おもな原料ブドウはナイアガラとコンコードでした。

しかし、どこの国や地域でも、ラブルスカ系でつくった「初心者用」の甘くて軽いワインは、ワイン消費が浸透するにしたがってしだいに飽きられ、消費者は初心者を卒業して、ヴィニフェラ種でつくられた「本格ワイン」へと移行します。
これが、少なくともこれまでの、世界のワイン生産国における道筋でした。