赤いヴェルデ

私は3年前にポルトガルに行って、現代のヴィーニョ・ヴェルデをたくさん飲んできまし
た。なんと22年ぶりの再訪で、ヴィーニョ・ヴェルデの品質の変化に驚きました。かつて
の荒々しい野趣は影をひそめ、すっかり上品な透明感のある白ワインになっていたからで
す。昔はどれも発泡性のある新酒の風情でしたが、いまのボトル詰めのヴィーニョ・ヴェ
ルデは、スティルワインのほうが多いかもしれません。

赤と白の割合は、昔も今も変わらず、白が圧倒的に多いでしょう。もちろん赤いヴェルデ
もあり、昔と較べると酒質ははるかに改善されていましたが、やはり、なかには昔ながら
の「野生の香り」をもつものもありました。

関係者に話を聞くと、それらの赤いヴェルデは、古くからヴェルデを飲んでいる地元の高
齢者（とくに男性）には人気があるが、若い世代や外国人には好まれないので、ほとんど
がローカルな消費で完結し、外国への輸出には回されない、とのことでした。