Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年09月27日

官能審査

生産地域の特定や生産基準の承認については、担当の係官が現地を調査して確認するのが
理想ですが、実際には人的な確保が難しいので、書類審査で判定します。この制度はもと
もとヨーロッパで中世にチーズやワインの生産者が自分たちのブランドを守るために立ち
上げた制度に源を発しているので、書類審査は生産者組合の代表などが担当します。

難しいのは、「実際にそれにふさわしい品質を備えているかどうか」を審査する方法です。
このためには、実際にそれらを食べたり飲んだりして基準に達しているかどうかを判定す
る、いわゆる「官能審査」が必要になります。田中康夫知事には、「田崎さんと玉村さんに
は、長野県の農産物を全部食べたり飲んだりして、味を判定してもらいたい」と言われま
したが……

長野県のNAC=Nagano Appelation Controlは、フランスのAOC=Appellation d’Origine
Controlée )をお手本にしたものです。田中康夫知事も、農産物のPRのためにはまず認
証制度が必要と考え、フランスのワインの認証制度を念頭に置いて、ソムリエ世界一の田
崎さんと、県内のワインぶどう生産農家である私に、立案を依頼したのだと思います。こ
うして、2003年の4月から、NACによるワインと日本酒の原産地呼称認定がスタートし
ました。