Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年10月01日

審査の実施

長野県の原産地呼称認定制度は、ワインと日本酒からスタートし、次いで、米、焼酎、シードルの順に品目が追加されました。最初の構想では、それこそソバや野沢菜をはじめとして、長野県の名産とされる農産食品の全般についての認証制度をつくりたいと考えていました。が、結局は、税務署等によって生産工程の把握がすでになされている酒類と米だけが、人件費がかかる立ち入り検査をしなくても事前の書類審査で対象が絞り込めることから、スタート時の品目として選ばれたのです。その後、豚や鶏などの畜産品を含めて、数多くの対象品目について制度の適用が検討されましたが、結局、今日までそれ以上は品目が増えていません。

制度を適用するためには、適格な事前審査をおこなうと同時に、審査委員による官能審査を実施しなければなりません。田中康夫知事が「長野県の農産物を全部食べたり飲んだりして味を判定してもらいたい」と言ったのはまさしくそのことなのですが、公平な官能審査をどう実施するかは難しい問題です。が、この点でもワインの場合は、欧米各国の例でも、また数多くの国際コンクールなどでも審査委員による採点で合否や順位を決めることが習慣としておこなわれてきたので、それらを範として導入することができたのです。

米の場合は、洗いかたや焚きかたによっても食味が異なるので、しかも口に含んで評価した後は吐き出せばよいワインと違って、審査委員は対象の数だけ少量とは言えご飯を食べなければならないので大変ですが、これも毎回きちんと実施して今日に至っています。