Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年10月04日

泣く子も黙る審査委員

官能審査をする審査委員は、対象となる食品(飲料)の生産や流通にかかわる専門家や、
食味を評価するプロである研究者やジャーナリストなどの有識者から選ばれます。とくに
長野県原産地呼称管理制度も全体の象徴ともなるワインの分野では、錚々たるメンバーが
審査委員に選ばれました。

ソムリエ世界一の田崎真也さんを委員長として、日本のワインジャーナリストのパイオニ
アである雑誌『ヴィノテーク』主宰の有坂芙美子さん、同じく「田辺由美のWINE SCHOOL」
を主宰する田辺由美さん、ワイン愛好家として名高いデザイナーの麹谷宏さんなど、これ
まで日本のワイン界を牽引してきた、斯界の関係者ならだれでも名前を知っている権威を
ずらりと審査委員に並べました。

公的な機関による認証、とくに官能審査による合否の決定に対しては、そうした「格付け」
に慣れない日本の業界では抵抗が強いものです。長野県でも当然既存のワインメーカーか
らの反発や抵抗がありました。が、田崎さんは、誰もが「この人たちに決められるのなら
仕方がない」と思ってしまう、「泣く子も黙る」強力メンバーを審査委員に揃えることで、
その抵抗を抑え込んだのです。長野県の同制度が成果を挙げ、今日まで存続する成功事例
となった大きな要因が、この審査委員の選定にあったことは疑いようがありません。