Column[ 読みもの ]
日本のワインのこれからを考える 2019
2019年10月11日
初期の試行錯誤
ワインの官能審査というのは、要するにブラインド・テイスティングです。申請によって
出品されたワインを(メーカーやブランドの名を伏せて)審査委員がテイスティングし、
色、香り、味わい、バランス……等の項目ごとに点数をつけていきます。全品のテイステ
ィングが終わったら全審査委員の点数を集計し、一定の点数以上を得たワインは合格、ボ
ーダーラインについては審査委員による合議を経て合否を決定します。
原産地呼称管理のためにワインや日本酒の官能審査をおこなったのは長野県が最初だった
ので、初めのうちは試行錯誤ばかりでした。いまでは、審査対象となるワインは別室であ
らかじめグラスに注がれたものが審査委員の前に運ばれますが、最初の何年間かは、大き
な部屋にずらりとボトルを並べて、それぞれのボトルから審査委員が自分でグラスに注い
で試飲していました。
もちろん、ボトルは首のところまで紙が巻かれているのでラベルは見えません。が、ワイ
ンボトルはガラスの色も肩のラインもメーカーやブランドごとに違います。また、品種別
にグループ分けして並べられているので、日本酒と較べて出品数が少ないワインの場合は、
首のところだけ見ればどの社のワインかだいたいの想像がつくのです。いうまでもなく審
査委員はそんなことは考えずにひたすら試飲を繰り返すだけですが、これでは本当のブラ
インドにはなりませんね。いま思い出しても恥ずかしい、最初の頃の不手際でした。