Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年10月15日

官能審査とソムリエ

長野県原産地呼称管理制度では、著名なワインジャーナリストや有名なワイン愛好家、ワインスクールの主宰者など、いわゆる「有識者」というジャンルで括られる「その道の権威」のほかに、ワインを販売する業者の代表や、ホテルやレストランでソムリエを務める人たちが、官能審査委員として選ばれました。もちろん審査委員長の田崎真也氏は、日本のみならず世界のソムリエ界のリーダーですから、圧倒的な存在感がありました。

ソムリエというのは、ホテルやレストランなどワインを提供する飲食業において、購入するワインを選択し、保存するワインを管理し、顧客がワインを注文する際にアドバイスを与え、卓上で実際にそれをサービスすることを仕事としています。そのために、ワインに関する知識と情報を持つことと、それを的確に表現して顧客に伝える技術、および注文されたワインをもっともよい状態で顧客に提供する技術を持つことが求められる職業です。

が、ホテルやレストランでソムリエにワインをサービスしてもらう、というようなシチュエーションを経験することが滅多にない大多数の人は、ソムリエ、と言えば、微妙なワインの味や香りを感じ取って、いくつかの決まった言い回しで表現する人……というようなイメージを抱いているのではないでしょうか。とくにソムリエの数が多い日本では、ワインを評価する人、といえば、誰もがソムリエを思い浮かべるのだろうと思います。