Column[ 読みもの ]
日本のワインのこれからを考える 2019
2019年10月18日
官能審査とワインメーカー
官能審査委員会のメンバーに、ワインメーカーは選ばれませんでした。自分が造ったワインを審査してもらう側がそれを審査する側に回ると、審査の公平性が失われる、というのが理由です。たしかに、消費者からすれば、メーカー自身が審査するのでは、内輪のメンバーがお手盛りで点数をつけているような印象を受けるかもしれません。
長野県の制度では、メーカーは毎回オブザーバーとして官能審査委員会に参加していました。オブザーバーは審査委員と同じようにテイスティングをして点数をつけますが、それはあくまでも自分が参考にするためで、正式の集計結果には加味されません。メーカーとしては、専門家の審査の場に立ち会うことで、それぞれのワインがどんな評価を受けるのか、合格しないワインはどこに欠点があるのか、などを学ぶことに意味があります。
原産地呼称管理制度の官能審査は、点数の多寡で順位を競うコンクールと違って、基準に達しないと判定されたワインにはどこに瑕疵があったのかを指摘し、メーカーに改善を促すためのものです。そのため、不合格と判定したワインについてはできるだけその理由を明らかにすることが、審査委員には求められました。