Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年10月25日

ドイツの場合

既存の分野から審査委員を選ぶのではなく、ワインの鑑定を専門の職責とする、ワイン鑑定士の資格を定めている国もあるようです。ソムリエのような「売る人」でもなく、ワインメーカーのような「造る人」でもなく、醸造学者のような「研究する人」でもない、ワインを客観的に評価するための専門的な訓練を受けた人たち。国家試験によって選抜された、鑑定士の資格を持った人たちだけで官能審査をおこなっている国もあるそうです。

ドイツの大きなワイナリーで醸造主任をつとめている日本人の醸造家が来日したとき、ドイツではどのように官能審査をやっているのか、訊ねました。

すると、ドイツでは専門の鑑定士の資格を定めていて、鑑定士になろうとする人は専門の学校に入って訓練を受けるのだと言っていました。そうした資格を持った人でなければ、官能審査の委員になれない。その選抜は、まずは純粋な官能識別能力試験(食品メーカーなどがやっている、微量の香りを含んだ風を流してそれを感知できるかどうか調べる……というような)をおこない、生まれつき識別能力に優れた人を選び出し、そういう人たちにワインの知識を与え、評価をするための訓練を施すのだそうです。そうして資格を与えられたワイン鑑定士も、60歳になると定年で、資格を失います。どんなに優秀な鑑定士でも、歳を取ると感覚が鈍るから、という理由ですが、さすが、ドイツ人の考えかたは徹底していますね。