Column[ 読みもの ]
日本のワインのこれからを考える 2019
2019年11月22日
合議
官能審査やコンクールの採点では、各審査委員が点数をつけた後、評価が分かれたワインについて協議がおこなわれることがあります。どういう理由でそのような点数をつけたか、それぞれが理由を述べて議論をし、合議の上で必要があれば点数を修正するのです。
長野県原産地呼称管理委員会の官能審査でも、採点の結果、ボーダーライン上にあるいくつかのワインについて、審査委員がそれぞれの意見を述べ合って、最終的な合否を決定することになっています。長野県の官能審査は満点が20点ですから、15点前後のボーダーラインに引っかかるワインがかならず出てきます。
が、ヴィーニョ・ヴェルデ協会の官能審査では、各審査委員が机の上のパソコンに打ち込んだ点数はそのまま自動的に集計され、その合計点でワインの評価が決定します。審査委員による合議は、ありません。審査委員が9人なら、満点は900点。機械的に集計された点数が最終評価です。100点満点なら、同じワインにまったく同じ点数をつける人は、そう多くはいないものです。
私は、このときの経験から、100点満点のテイスティングシートを使えば、特別な訓練を受けた専門家でなくても、ワインの評価はできるのではないか、と考えるようになりました。