Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年11月27日

ワイン評論家

世界にはワイン評論家と言われる人びとがいて、英国のヒュー・ジョンソン(1939~)とか、アメリカのロバート・パーカー(1947~)とか、女性では英国のジャンシス・ロビンソン(1950~)といった名前がよく知られていますが、共通する点はいずれもワインの醸造家でもブドウの栽培家でもなく、美術や哲学や法学など畑違いの学問から出発して、ワインに関する評論で有名になった人たちであることです。ワインのガイドブックを刊行したり、ワインに点数をつけて発表したり、メディアを通じてワインについての評価や啓蒙の活動をおこなうので、消費者の立場に立ったワイン鑑定者、ないしはワインジャーナリストと呼ぶのがふさわしいかもしれません。

日本には、この分類に該当する人たちはいないようです。法律家で、世界と日本のワインに関する膨大な著作を表している山本博先生には唯一その資格がありそうですが、個々のワインに関する評価や点数を発表することがないので、ジョンソンやパーカーとは一線を画します。日本ワインに関する徹底した取材と啓蒙活動で有名な鹿取みゆきさんも、もちろんワインに点数をつけたりはしませんし、本人はジャーナリストと名乗っていても、評論家と呼ばれるのは本意でないでしょう。