Column[ 読みもの ]
日本のワインのこれからを考える 2019
2019年12月03日
造り手による評価
ソムリエ、評論家、消費者など、それぞれの立場の違いによって、ワインの評価には微妙なズレが生じることがある……とすれば、ワインの造り手の立場というものも、考えなければなりません。造り手には造り手の、意見ないしは見解があるはずです。
ワインメーカーは、ワインをつくる過程で、何度も何度もテイスティングを繰り返しながら仕上がりの方向性を探っていきます。だから、他人が造ったワインを見るときも、製造過程で何が起こったからこうなったのか、どの段階でこの変化が起こったのか、どんな選択がこの結果を招いたのか、など、つねに造り手の視点からワインを検討します。
最近はソムリエのみなさんも栽培や醸造の知識を持つようになってきていますが、実際の現場にいる造り手とは感覚が違います。その意味で、ワインを多角的に評価するには、造りの過程における瑕疵の有無を判定する能力に長けた、ワインメーカーの参加が必要になってきます。