Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2019年12月10日

評論家と消費者

ワイン評論家(ジャーナリスト)の立ち位置は消費者の側にある、と言いましたが、彼らは純粋な消費者ではありません。株価を予想する株屋さんや、馬券を予想する馬券師と同じで、もちろん自分のために個人で買うことはあるにせよ、他人に情報を提供することで収入を得るのが仕事です。その意味で評論家は、消費者の側に立ちながらも片方の足はワインを売る側に置いている、といってもいいでしょう。

一般の消費者は、自分のために、自分でおカネを出してワインを買う人です。1000円のワインを1000円出して買い、1000円で買う価値があるかどうかを判断する。5000円のワインを5000円出して買い、5000円で買う価値があるかどうかを判断する。1000円でも美味しいワインは毎日飲むために買い、美味しいけれども5000円するワインは、たまに友人と飲むために買っておく。1000円でもまずければ買わないし、5000円では高過ぎると思ったワインは二度と買わない。

自分でおカネを出してワインを買う消費者の評価は、ワイン評論家やソムリエによる評価より、はるかにシビアなものだと私は思います。