Column[ 読みもの ]
日本のワインのこれからを考える 2019
2019年12月13日
金賞ワイン
ワインの値段は、消費者が決める。生産者や販売者がどんな値をつけようと、それを買う消費者に許容されなければ、どんな値づけも成立しない。本来は、そうあるべきだと思います。が、実際には、自分でおカネを出してワインを買う消費者が、ワインの評価についてもっとも自信がなく、誰かに決めてもらいたい、と思っている。だから評論家なりソムリエなり、ワインの「権威」と目される人たちに評価を委ねてしまうのです。
テレビでやっているビールのコマーシャルで、このビールは3つも金賞を取った、と宣伝しているメーカーがあります。どんな「権威」が与えた金賞なのか、中には何にでも金賞を与えるような国際機関もありそうですが、消費者にはその「権威」を判定しようがありません。が、それでも「金賞を取った」というだけで、何の金賞なのか分からなくても、消費者はそれに惹かれると、コマーシャルの制作者は考えているのでしょう。
ビールですらそうなのですから、ワインなら尚更です。ヴィラデストのワインも、日本ワインコンクールで金賞を取ったとか、サミットの晩餐会に供されたとかいうニュースがあると、売り上げは覿面に増加してすぐに売り切れてしまいます。ほかのワインも同じくらい美味しいのに……と思うと、うれしいような、淋しいような、複雑な気持ちです。