Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2020年02月25日

安いワインからはじめる人

日本では、ワインを飲む人の数は、まだまだ限られています。世界では、それまでワインを知らなかった国がいったんワインを飲みはじめると、急速にその数が増えるものです。オーストラリアやニュージーランド、アメリカの各州でも同じようなことが起こりましたが、それまでビールを飲んでいた人口が一気にワインへとシフトしたこれらの国々と違って、日本には日本酒があり、焼酎があり、減ったとはいえビールの人気も根強く、そう簡単にワインだけが伸びるわけにはいきません。

もちろん、退潮傾向にある他の酒類と違って、ワインだけは消費量が漸増しています。上向きにあることはたしかで、とくに30~40代の女性を中心に消費が引っ張られていることはご承知の通りです。この動きをいっそう加速するには、どうしたらよいでしょうか。

どこの国のワインでも、とにかく取っ付きやすいものから飲みはじめて、そのうちに日本ワインに興味が向いてくれればよい、と私は考えていますが、1000円くらいの安いワインからはじめて……ということになると、「ワインは安いもの」という意識が植えつけられてしまうリスクがありそうです。ふだん1000円のワインを飲むことに慣れていて、それで満足している限りは、急に3000円や5000円のワインを求めることはありません。
いろいろなワインに接して、比較する中から、求めるワインがグレードアップしていくのです。その意味でも、自分で点数をつける遊びは、有効ではないかと思います。