Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2020年02月28日

高いワインでも平気な人

一方で、外国のワインを飲むことに慣れていて、高価なワインでも出費をいとわないワイン愛好家の層があります。バブルの頃から高いワインを飲んでいた熟年男性や、ワインを飲む生活様式を身につけたビジネスウーマンなど……こういうファン層は、ソムリエ顔負けの知識をもっていても、案外、日本ワインを知りません。

こういう人たちに、日本ワインを飲んでもらうことが、日本ワインの消費の拡大には大きな意味があると考えます。ワインの味が分かっている彼ら彼女らは、日本にも上質なワインがあることを知れば、きっと強力な消費層になるのではないかと思います。とにかく、飲んでもらえば、日本ワインが到達した現在のレベルに驚くはずですから。

こういう人たちは、3000円とか5000円とかいう価格には驚きません。ふだん、何万円もする外国のワインを平気で買う人たちですから、日本ワインの値付けは、むしろ安いと感じるはずです。日本ワインの造り手たちは、値段が高い、という声をつねに浴びているので、できるだけ安価で美味しいワインを提供したいと考えます。が、それでは小規模なワイナリーは経営が苦しくなるばかりです。美味しいものは高い、と消費者に納得してもらわないと、日本のワイン界も飲食業界も、デフレの波に呑み込まれてしまうでしょう。