Column[ 読みもの ]

日本のワインのこれからを考える 2019

2020年03月06日

ワインツーリズム

卸売りをして全国に展開するほどの量はない。地元の酒屋さんでも売っていない。ワイナリーへ行かなければ、飲むことも買うこともできない……。小規模ワイナリーの販売戦略は、必然的に「ワイナリーまで来てもらう」ことが目標になります。ワイナリーに来てもらい、自分たちのブドウ畑の風景を見てもらい、栽培や醸造のスタッフと直に接してそのワインに込めた思いを知ってもらった上で、買ってもらう。試飲ができて、ちょっとしたものが食べられるスペースがあれば理想的です。

地域に小規模ワイナリーが増えると、ワイナリーを巡る「ワインツーリズム(ワイナリー観光)」が生まれます。2~3泊して数ヵ所のワイナリーを巡り、ワインと料理を楽しむ旅。日帰りでもよいけれど、やっぱりワインを飲めば泊まりたくなる。ついでに温泉を楽しみ、近隣の名所に寄り道する……ワインツーリズムを発展させるには、ただワイナリーが増えるだけでなく、リラックスできる宿泊施設や、地元の食材を使ったおいしい料理を出すレストランも増えなければなりません。飲んだらクルマを運転できないので、アクセスや二次交通も考える必要があります。つまり、ワインを核にして、あらゆる観光資産が結集してその魅力を発揮するのが、ワインツーリズムなのです。